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築50年を超えた中古マンションの今後(1/3回目)

2024年3月29日 カテゴリ: 業界情報

人が年齢を重ねるように、マンションもまた年老いていきます。
築50年を超えるマンションが登場する中、どのような問題を想定し、どのように解決していけばよいのでしょうか。
当サイト会員の松山マンション管理士より、築50年を超えたマンションのこれからについて、全3回に分けてご紹介いただきます。

 

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1953年東京都が「宮益坂アパートメント」を分譲したのをきっかけに、1956年民間分譲マンションとして第1号となる「四谷コーポラス」が竣工し、すでに60年以上が経過しています。

 

国土交通省による令和3年6月21日更新の「築後30,40,50年超の分譲マンション数」を見ても、築40年以上を経過した分譲マンションは、現在103.3万戸となっており総供給戸数の44.5%を占めています。
表をみればお分かりですが、これが5年後には150万戸と50%を超え、10年後には231万戸で57%、20年後には404万戸で69%と、市場に供給されているマンションのほとんどが築40年を超えているという状況になります。(下図、国土交通省のデータを参照)

 

そんな中、居住者あるいは購入者層がどのような状況になっているかの視点で見てみます。
分譲マンションは、人が住むために利用されますから、人口を見てみましょう。

 

2020年

1億2532万5千人

2025年

1億2254万4千人

2030年

1億1912万5千人

2040年

1億1091万9千人

(国立社会保障・人口問題研究所 日本の将来推計人口(平成29年推計)の公表資料 報告書 より)

 

20年後には現在の1割以上の国民が少なくなっているのに対して、分譲マンションの供給戸数は20年で約2倍に増加していることがわかります。
マンションの居住者・購入者は世帯数でみるべきとの意見もありますので、世帯数の推計も見てみましょう。

 

2020年

5410万7千世帯

(うち単独世帯 1934万2千世帯)

2025年

5411万6千世帯

(うち単独世帯 1996万世帯)

2030年

5348万4千世帯

(うち単独世帯 2025万4千世帯)

2040年

5075万7千世帯

(うち単独世帯 1994万4千世帯)

(国立社会保障・人口問題研究所『日本の世帯数の将来推計(全国推計)』(2018(平成30)年推計) より)

 

いずれの推計結果が示す通り、これから人口も世帯数もいずれも増加が見込めないことは明白です。 人口、世帯数が減り、戸建てや住戸の供給戸数が2018年時点でも空き家率13.6%であるところ、今後も空き家が増えていくことは巷で言われているとおりと思われます。

 

そして、国土交通省による「住宅事情の変化と現状」の空き家に関する調査では、

 

・2018年時点で、住宅ストック数(約6200万戸)は、総世帯(約5400万世帯)に対し16%多く、量的には

充足

・居住者のいない住宅は、2018年時点で879万戸

内訳:

空き家[賃貸用]

433万戸

空き家[売却用]

29万戸

空き家[二次的住宅(別荘など)]

38万戸

空き家[その他(長期不在等)]

349万戸

一時的使用

22万戸

建築中(仕上げ工事中)

9万戸

 

とのことでした。

 

築50年を超えた中古マンションの今後1_1

(国土交通省 令和5年度 住宅経済関連データより)

 

空き家の問題は、いろいろな専門家の方が議論をされ、法令改正等で対策を取っていただいているのでお任せしますが、次回は分譲マンション、特に築50年を超えた分譲マンションは、将来どこに向かうべきで、築年数が経るにつれどのようになっていくべきなのかについてお話ししようと思います。

 

 

(松山マンション管理士)

 

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いかがでしたでしょうか。
築50年を超えた中古マンションの今後について、次回は居住する若年層と高齢層の価値観の相違が、マンション運営にどのような影響を与えるかについてご紹介します。

 

次回の「築50年を超えた中古マンションの今後(2/3回目)」もどうぞお楽しみに。