マンション管理士のコレ聞いて!!
マンション管理士の世界-3
2024年3月1日 カテゴリ: 業界情報
管理組合様にとって、マンション管理士とはどのような存在でしょうか。
マンション管理に欠かせない頼れる存在?そもそもマンション管理士の資格事態を知らなかった?
公益財団法人マンション管理センターが平成30年にまとめた、マンション管理士の業務についてのアンケートがあります。
当サイト会員の松山マンション管理士に監修いただきながら、アンケート結果と照らし合わせ、その実態についてご紹介いたします。
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マンション管理士の実態について、調査結果からひも解いてみましょう。
平成30年6月1日 公益財団法人マンション管理センターより公表されたデータに基づき、報告したいと思います。対象23,118名のうち、6,849名より回答あり。
(1)回答者の年齢
60歳以上の方が25%を超え、50歳以上とすると過半数を超えていると考えると、リタイア後のキャリアのために資格取得をしたいという動機がうかがえます。
もしくは、理事長を経験した結果、興味があって資格を取得したという方も多くいらっしゃるかもしれません。
(2)動機
「現在又は将来の仕事に生かす」という回答がもっとも多く、独立したマンション管理士事務所の経営をするための人は、19%となっています。
独立開業する方は珍しいのでしょうか・・。
(3)活動状況
マンション管理士としての業務※について、本業・副業をしているのは13%程度であり、独立開業を目指している人は少ない状況ですね。
※マンション管理士としての活動とは、管理組合等への助言・指導・その他の援助業務を指し、管理会社等の社員としての業務や自己が居住するマンショ ンの管理組合での役員就任等は含まない。とのことです。
(4)業務を行っている方の属性
以下のとおり、活躍しているマンション管理士は、その8割近くが50歳以上となっています。
マンションは5年10年と依頼することもあるでしょうから、個人ではなく、組織的に対応できるマンション管理士事務所と契約することに価値が出てくるかもしれませんね。
(5)マンション管理士業務の具体的な内容
マンション管理士の仕事の幅は広く、管理組合が抱えるあらゆる問題に対応できるのが強みだと思います。
下記項目の多くは管理会社に依頼している管理組合が多く、その業務内容について納得できなかったり不明瞭なところがある場合、管理組合と管理会社での話し合いになります。
どのようなことにも言えることですが、マンション管理における比較・競争は適正価格と品質の維持に欠かせないものではないでしょうか。
その中で監理・相談役として、マンション管理士は必要な存在であると思われます。
(6)報酬額
次に、マンション管理士の報酬について見てみましょう。
独立したマンション管理士事務所の売上高は、400万円以上が18.8%、700万円以上が8.6%であり、決して高収入とは言えません。
やる気か、やり方か、営業方法か・・どれが理由かはわかりませんが、中には2,000万円以上を稼ぎ出すマンション管理士もおり、能力次第で夢はあるのではないかと思います。
(7)業務受託のきっかけ
試験に合格後、マンション管理士としての仕事はどのような流れで受けるのでしょうか。
下記グラフによると紹介が多い、ということですね。次点で相談会、セミナー講師、ということで、信頼できるマンション管理士を消費者側が探す際には、やはり紹介などの安心感を持つ方法が取り入れられているようですね。有償無償よりも、実績がある方の方が確かにいいですよね。
(8)組織化
下記、円グラフによると、まだまだ、個人事務所が多く、組織化は今後の課題のようですね。
問題は収益性でしょうか、それとも業務内容でしょうか。
マンション1棟を担当するマンション管理士にとって、収益性を上げるための分業は難しく、内容を分担しづらい業務ですよね。
(9)資格取得後の活動について
合格率10%という狭き門をくぐりぬけたにも関わらず、その後の活動については下記円グラフによると絶望的な数字ですね・・。
苦労して資格を取得した後も20%しか活動しない、ということのようです。
せっかく得た知識が、管理組合様に還元されていないのはもったいないように思います。
(松山マンション管理士)
出典元:公益財団法人マンション管理センター「マンション管理士の業務についてのアンケート調査結果の概要(平成30年6月1日版)」
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いかがでしたでしょうか。
マンション管理士は決して補助的な資格ではなく、専門性をもつ独立した資格であるにも関わらず、その後の仕事量や収入に直結していないように思われます。
自由回答のアンケートには、宅地建物取引士などの資格と同様に業務独占資格に改めるべきである旨の意見・要望が寄せられており、マンション管理士として独立して業務を行うことが難しい現状が浮き彫りになる結果となりました。
マンション管理において管理会社一択の選択肢にならないよう、これらの問題が解決することを願っています。
管理組合様をサポートする選択肢が複数存在し、それらが包括的に管理組合様を支えることが、健全な理事会運営につながるのではないでしょうか。
次回のコラムもお楽しみに。