マンション管理士のコレ聞いて!!
管理規約にこれ入れとこう-3 (外国人ほか多様性対応 その3)
2024年1月19日 カテゴリ: 管理組合
外国籍の区分所有者との間に何らかのトラブルが発生した場合、理事会としてどのような対応を取れば良いのでしょうか。
今回は「管理規約にこれ入れとこう」と題し、あると便利な規約について、当サイト会員の松山マンション管理士よりご紹介いただきます。
=========================================================
標準管理規約※が国交省から出されていますが、マンション管理士として様々なマンションの現場に出つつ、管理規約を眺めていると、標準管理規約にこういう条文があれば参考になっていいのにな、という思いや気付きがあります。それらを今後、ひとつひとつご紹介していきます。
今回はその3つ目です。
外国籍の区分所有者が最近増加しています。
マンションにはそれなりのルールが必要ですが、日本にある不動産であることから、標準管理規約では日本人しか所有しないことを暗黙の了解としています。
そのため、外国籍の方への配慮や対応が記載されていない、ということになります。
上記のような状況で「言語」・「通貨」について紹介してきました。
今回は、管理組合内で適用される「準拠法」※の設定です。
「管理組合内で運用は、日本法を準拠法とする」というような設定を、条文として作っておくとよいでしょう。
区分所有者は、外国籍の方も特に制限なく、なることができます。
特に、外国に居住する外国人区分所有者が管理組合役員になった場合においては、その法律体系は委任契約となり、場合によっては国際取引ともいえます。
このような国際取引の可能性がある以上、管理組合に関しての適用するべき準拠法は、日本法を指定しておくことが重要です。
そして、マンション管理に関する法令は、概ね民法・区分所有法を中心とし、様々な法令も関係し、それらに基づく裁判例も存在することから、日本法に基づき解釈されることがマンションにとっても利益となるでしょう。
そして、外国に居住する外国人区分所有者が複数いた場合には、その区分所有者ごとに準拠法が異なる可能性も出てくるため、日本法に統一しておくことがもっとも合理的です。
今回は以上です。
(松山マンション管理士)
※標準管理規約 | ・・・ | 国土交通省が公表しているマンションの管理規約のひな形であり、モデルパターン。 |
※準拠法 | ・・・ | 準拠法とは、その契約に適用させる法律を決める契約条項です。 国内取引の契約ではあまり重要ではありませんが、国際取引の契約では非常に重要となる契約です。 |
=========================================================
外国籍の区分所有者との間に問題が起きた場合、言語の違いはもちろんですが、海外とのやり取りになる場合もあるため、日本人の区分所有者に比べ時間も労力もかなり削られます。
先に規約として盛り込むことで、のちのリスク回避や労力の軽減につながります。
次回は「管理規約にこれ入れとこう」シリーズの「外国人ほか多様性対応」最終回です。 どうぞお楽しみに。