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管理規約にこれ入れとこう-4 (外国人ほか多様性対応 その4)

2024年2月2日 カテゴリ: 管理組合

ダイバーシティ(多様性)が重要視される中、スムーズな理事会運営にもその配慮は必要です。
今回は理事会運営における「国内の管理人選定」について、当サイト会員の松山マンション管理士よりご紹介いただきます。

 

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標準管理規約※が国交省から出されていますが、マンション管理士として様々なマンションの現場に出つつ、管理規約を眺めていると、標準管理規約にこういう条文があれば参考になっていいのにな、という思いや気付きがあります。それらを今後、ひとつひとつご紹介していきます。
今回はその4つ目です。

 

外国籍の区分所有者が最近増加しています。
マンションにはそれなりのルールが必要ですが、日本にある不動産であることから、標準管理規約では日本人しか所有しないことを暗黙の了解としています。
そのため、外国籍の方への配慮や対応が記載されていない、ということになります。

 

上記のような状況で「言語」・「通貨」・「準拠法」※について紹介してきました。
今回は、外国居住の区分所有者に対する規約の設定です。

 

実際に、海外出張で南米にお住まいの方で、国際郵便で1週間程度かかるということがありました。
総会資料を送っても議決権行使書が返送されてくるのに、往復で2週間以上かかるため、総会開催日に間に合わず事実上議決権行使ができないという状況もありました。
このような状況を避けるために、居所が国外になる場合には、国内の代理人を選任するように義務付けるということを規定に入れた例があります。

 

また、これと同様に日本語能力を有しない区分所有者の場合には、国内の日本語能力を(管理規約が理解できる程度に)理解できる者を代理人とすること、という規定例も必要と思います。

 

現在、区分所有法の改定が検討されていますが、マンション学会※では、「国内の管理人」を選任するべきという提言を国交省に提出しているようです。

 

今回は以上です。

 

 

(松山マンション管理士)

 

※標準管理規約 ・・・ 国土交通省が公表しているマンションの管理規約のひな形であり、モデルパターン。
※準拠法 ・・・ 準拠法とは、その契約に適用させる法律を決める契約条項です。 国内取引の契約ではあまり重要ではありませんが、国際取引の契約では非常に重要となる契約です。
※マンション学会 ・・・ 一般社団法人日本マンション学会。マンションの諸問題を学術的に研究する組織で、1992年に任意団体として設立、2010年に一般社団法人として登記された。

 

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いかがでしたでしょうか。
マンションは100年持たせましょうという時代に突入し、取り巻く環境も日々変化し続けています。
その変化に対応し続けることが健全な理事会運営につながり、マンション全体の資産価値向上につながるのではないでしょうか。

 

多様性対応シリーズについては、今回で一旦終了です。
次回の「管理規約にこれ入れとこう」もどうぞお楽しみに。