管理組合様の声

【大規模修繕工事/管理会社変更】 修繕委員長 様 (東京都Aマンション)

2018年11月8日 カテゴリ: 01_大規模修繕工事 05_管理会社変更

物 件 名 : Aマンション   (東京都23区)             

築 年 月 : 2001年 3月 (工事実施時:築17年)         

総 戸 数 : 30戸                           

構   造 : 鉄筋コンクリート造/地上7階建て

内   容 : 大規模修繕工/管理会社変更

 

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まず、JSMさんには、管理会社変更及び大規模修繕工事において、貴重なアドバイスやサポートをして頂き誠に有難うございました。

本マンションは投資用マンションであり、実需の所有者がおらず、一般的な分譲マンションとは少し様相が異なるかもしれませんので、ご承知置き頂ければと思います。

私は、大規模修繕委員長という立場で、本マンションの大規模修繕工事を進めさせて頂きましたが、大まかな流れは以下のような感じで、②の計画着手から完了まで約6ヶ月という非常にタイトなスケジュールで遂行させて頂きました。

 

① 管理会社から大規模修繕工事のために借入れの提案がある

② 管理会社の提案を断り、管理組合主導で進める形で決定

③ JSMのコンサルティングを受ける事を決定

④ 設計監理方式で大規模修繕工事を進めることに決定

⑤ 管理会社の変更

⑥ 設計事務所の建物診断、改修設計による仕様の作成

⑦ JSMの入札サイトに大規模修繕施工業者募集を掲載

⑧ 施工業者の入札、決定

⑨ 着工、工事内容の変更、完了

 

 

(1)JSMとの出会い

本マンションも築16年目にさしかかった平成28年11月の総会において、管理会社から大規模修繕工事を提案されたのですが、工事を実現するには修繕積立金が不足しており、借入をしなければならないという目を疑うような内容でした。

私は、大規模修繕工事の経験がございませんでしたので、借入れをすることが一般的かどうかは存じ上げませんが、わずか2社しか見積りをしておらず、見積り金額の差も僅かで、しかもその内の1社は、管理会社のグループ会社(以下「A社」という)で、最終的に当該A社に発注したいという内容でした。

そもそも1回目の大規模修繕工事から借入をすることに反対も多く、一旦は総会で否決されたのですが、管理会社からは、本マンションのタイル浮きの危険性や工事の緊急性を強調されたため、管理会社の顔も立てないといけないと思い、前述のA社に金額交渉や工事内容を精査の上、修繕積立金内で収まるような内容で再検討をお願いしました。

ただ、私個人的には、管理会社の見積金額や提案内容を全く信用しておりませんでしたので、自分なりに大規模修繕工事の問題点や業界事情を調べていたところ、たまたまJSMのHPを目にし、軽い気持ちで電話を掛けさせて頂いたのがJSMとの出会いのきっかけでした。

 

いきなりの電話にも拘らず、業界のことや管理会社の対応の問題点、大規模修繕工事の進め方や業者の選定方法について1時間程親身にご教示して下さり、話しぶりや電話の応対から信頼できる方々だろうという印象を受けました。

そして、先の総会から約3ヶ月経過した平成29年2月上旬、管理会社から再度A社の見積りを提案されましたが、工事費や工事内容を見直すというよりも、タイル貼替えの想定数量を減らして修繕積立金内に工事費を収めるという場当たり的な内容で、真剣に検討された様子も見られず、期待を大いに裏切るものでした。

万一、足場設置後の建物調査で想定以上のタイル浮きが確認されれば、資金ショートすることは明らかで、その様な見積りで大規模修繕工事を進めると、工事のみならず、本マンションの管理・運営自体危うくなる可能性があると思い、管理会社主導で大規模修繕工事を進めるのではなく、JSMのようなコンサルタントも活用しながら、組合主導で進める方向に切り替えましょうと、理事長に提案しました。

 

投資用のマンションのため、普段の総会に出席することはありませんでしたので、理事長がどういう方なのかも分からず、正直、もし理事長が管理会社側の立場の方ならどうしようという不安はございましたが、幸い、理事長にも賛同して頂けたので、管理組合主導に舵を切ることができました。

 

(2)大規模修繕工事を進めるにあたって

そこで、管理組合主導で大規模修繕工事を進める上で最初に考えたことは、投資用マンションの特殊性なのか、理事会などの組織がなく、役員は管理者である理事長1名のみでしたので、ただの組合員である私が管理会社に意見したところで無視される恐れがあるのと、自分が言い出したことである以上責任も負う立場に就くべきだと思いましたので、管理組合の承認を得て、大規模修繕委員長に任命して頂きました。

 

大規模修繕工事の施工業者の選定方法は、コスト削減と選考過程の公正性を保つため、ぜひとも入札形式は採用したかったですし、JSMの入札サイトを利用するにあたっては特段費用も発生しませんので、特に組合の反対もございませんでした。

大規模修繕工事の進め方として、責任施工方式と設計監理方式のいずれの方法で進めるかは予算が潤沢ではなかったため、少しでも工事費に充てるべきか、設計事務所に費用を払ってでも工事費の削減を目指すべきか相当悩みましたが、管理組合に施工業者を選定する能力や入札条件となる各種仕様書を作成する能力があるのか、また、役員の責任や負担の軽減、設計監理方式による類似規模の大規模修繕工事での成功事例や見込可能性、想定外の事態に対する対応などを考慮して設計監理方式を選択することにしました。

 

本マンションでは、結果的には設計監理方式を採用していてよかったのではないかと思います。というのも、当初の管理会社の建物診断に基づく内容では、タイルの貼替えは余裕をみて約5%程度という内容で、その上で借入が必要ということでしたが、後の設計事務所の建物診断では、タイル浮きが想定より激しく、5%どころか約15%程度の貼替えが必要であると診断され、さらには、足場設置後の全棟検査では、最終的に15%どころか約30%もの貼替え等の補修が必要であることが明らかとなり、設計事務所、施工会社、JSMの皆さんがこれ程タイル浮きが酷いマンションは見たことがないと口を揃えるような状況でしたので、少しでも多くの経験と知恵を結集し、かつ、設計事務所にその都度迅速に対応策や代替案を検討して頂かなければならなかったことを思うと、設計監理方式を選択していて良かったと思います。

 

(3)管理会社の変更

最初の大規模修繕工事の計画から完了までの大まかな流れの中で、⑤の管理会社の変更の必要性について疑問を抱かれたかもしれませんが、大規模修繕工事を進める上で、本マンションにとっては極めて重要な作業だったと思います。

(1)で記載したとおり、管理会社から融資を利用して大規模修繕工事を実施するという提案があり、僅か2社の見積りで、しかもA社に発注したいというものでしたが、正直、工事総額の割に金額差があまりに小さかったので、個人的にはどう見ても形式的な見積り合わせという印象を受けました。

私も、素人ながら各見積り項目の単価をインターネット等で調べた上で、管理会社に対して、修繕積立金内で納まるようにどの程度各社と金額交渉や工事内容の検討をしたのか問い質したのですが、特に交渉をした様子もありませんでした。

さすがに十分な検討もせぬまま、安易に管理組合に借金を背負わせてグループ会社に利益をもたらすようなことは見過ごせませんので、A社と見積内容を吟味して再提案するようお願いしましたが、結果的に、タイル貼替えの想定数量を減らして修繕積立金内に工事費を納めるという子供だましの様な提案をしてきたため、これ以上管理会社に任せても期待できないと思い、管理組合主導で見積りをとることに致しました。

 

そこで、設計事務所に見積りを依頼するにあたり、まず管理会社の建物診断結果や過去の工事資料、日頃の設備等の点検記録などにより建物の状況をなるべく正確に把握する必要があるため、管理会社に関連書類の提供をお願いしたところ、記録が保管されていないものもあり、不適切と思われる建物管理の事実も多々判明しました。

また、管理組合主導による大規模修繕工事を進める上で、総会で承認を得なければならない事柄が多々ありましたが、今回のように管理会社の提案を退けて手続きを進める以上、議案書の作成や投票行動を管理会社に任せるのは危険でしたので、管理組合自身で進めるために組合員名簿の引渡しを求めたが、頑なに拒否される事態となり、管理組合をサポートすべき立場の管理会社が逆に管理組合の運営の足を引っ張るような態度にでたため、今後の手続をスムーズに進めるためにも、大規模修繕工事と並行して早急に管理会社を変更するに至りました。

 

管理会社を変更するには総会承認を得る位で、それ程難しくないと高をくくっていたのですが、よくよく考えてみると、①案内文書を送付する組合員の情報を把握しなければならない、②万一の管理会社の妨害行為に備えて議案書の作成、発送、回収まで自分たちで完結させなければならない、③管理会社が組合員に対してガセ情報を吹聴する恐れがある、など確実に遂行するにはいろんなことを想定しておかなければならず、非常に神経を使う作業であり、予想以上に心労は大きかったと思います。

 

(4)最後に

今思えば、管理組合主導で大規模修繕工事を実施しようと動きだしてから、さまざまな問題が噴出し、正直、原稿の兼ね合いで割愛した問題も多々あるのですが、それらを何とか解決して無事大規模修繕工事を完了できたのは、JSMのサイトを利用しコンサルティングを受けていたという点も非常に大きかったと思います。

 

というのも、設計事務所、施工業者、変更後の新管理会社は、いずれもJSMを通じての紹介や入札によってお世話になっており、JSMがオーガナイザー的な立場で管理組合、設計事務所、施工業者、新管理会社の各自の役割と連携がうまくいくよう的確に指示して下さったので、管理組合も混乱せず最後までやり遂げることが出来たと感じております。

 

今回、大規模修繕委員長という貴重な経験をさせて頂き、業界の体質や問題点など多少なりとも勉強させて頂きましたので、今後の管理組合の活動に少しでも役立てていきたいと思いますし、マンション管理や修繕工事、組合運営に悩んでおられる方々の解決の糸口となるよう、一人でも多くの方々にJSMの存在が認知されることを願っております。

 

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