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国交省による総合調査結果をみて(前編)

2024年7月5日 カテゴリ: 業界情報

マンションには、国土交通省から5年に一度発表される調査結果があります。
マンションの管理状況や、居住者の管理に対する意識等を調査したアンケートです。
今回は、発表されたばかりの最新結果をもとに、マンションの現状とこれからの課題について、当サイト会員の松山マンション管理士に分かりやすくご紹介いただきます。

 

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マンション管理士職人の松山です。
さて、6月21日に国土交通省から「令和5年度マンション総合調査結果」が公表されました。

 

プレスリリースされた情報は以下の通りです。

 

 国交省による総合調査結果をみて_前編_1

 

 国交省による総合調査結果をみて_前編_2

 

 国交省による総合調査結果をみて_前編_3

 

 国交省による総合調査結果をみて_前編_4

 

築40年を超えるマンションは、中古市場では活発に取引がされているようですが、購入後に後悔することにならないよう慎重に判断することをお勧めします。

 

上記のアンケートにもあるように、居住者の55%以上が70歳以上となっている築40年を超えるマンションには、以下の課題が存在している可能性があると言えます。

 

①役員のなり手不足
もちろん、元気な70歳以上の方もいらっしゃいますが、体力的にも衰えがあり、多くの高齢者は、役員にならない傾向にあります。
ということは、子育て等で忙しい若い方に負担がかかります。

 

②価値観の相違
例えば宅配ボックスひとつをとっても、築40年のマンションには、新築時に標準装備されていませんでした。そのため、追加で設置するという議案が上程されるわけですが、こう高齢者が多いと「私はいつも在宅しているから使わない=余計なものに修繕積立金を使うな」「宅配ボックスができると、本来再配達で届けてもらえるものが、1階から運ばないといけないので、デメリットだ」という考えが過半数を占めることとなり、マンション全体にとって利益になるかどうか?という視点でものごとを考えられない方が多くなることで、停滞・陳腐化していくこととなります。
宅配ボックスだけではなく、子ども乗せ電動自転車置き場についても同様で、子育て世代が望む施設が無いというだけで、選ばれないマンションになることは確実だと思われます。

 

下記資料の通り、マンション購入の際に考慮される項目は、立地などの価値観が最優先ではありますが「共用施設・サービスの充実度」を重要視される方は、前回のアンケート時より増えています。
これをおろそかにすると、仮に選ばれたとしても価値としては低く見積もられ、価格に反映していくものと思われます。

 

とはいえ、下記資料のマンション購入の際に考慮した項目にはそのあたりは記載されていない(「共用施設・サービスの充実度」に含まれると思われるものの、全体の中ではその価値観が低い)ので、仮説にしかすぎませんが。

 

 国交省による総合調査結果をみて_前編_5

「令和5年度マンション総合調査結果からみたマンション居住と管理の現状」より

 

現在行われている都知事選挙においても「首都防衛」などと防災面が叫ばれているように、防災はマンションにとって重要な活動です。
居住者が多様化しないということ、仮に100%が70歳以上の高齢者である場合、全員が「助けられる側」となってしまい、バランスを欠き、とてもよいマンションとは言えないことがわかると思います。

 

マンションを1つの船と仮定した時、大切なのは停滞・陳腐化を率先せず、変化・改良を行ってより良い船に仕上げることです。
居住者を多様化し、資産価値を上げるための運営をすることが、マンションストック数が右肩上がりの現代を渡りきる、重要な舵となるのではないでしょうか。

 

 

(松山マンション管理士)

 

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いかがでしたでしょうか。
マンションの区分所有者における高齢化が進む中、居住者の多様化や資産価値を下げないための意識改革が大切なことをご紹介いただきました。

 

次回は「国交省による総合調査結果をみて」の後編です。どうぞお楽しみに。