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管理組合が心得るべき「障害者差別解消法」改正への対応(1/3回目)

2024年5月24日 カテゴリ: 管理組合

2024年4月1日に、障害者差別解消法が改正・施行されました。
マンションの運営にも関わってくるこちらの法律について、当サイト会員の松山マンション管理士に分かりやすくご紹介いただきます。

 

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マンション管理士職人の松山です。

 

今回は、総会や説明会などの会場を設定するうえで気を付けなければならない点について、お知らせしたいと思います。
なんと、総会や説明会などの会場を設定するときに関する法律があるのです。
その法律とは、「障害者差別解消法」です。

 

初めて聞いたという方が多いと思いますが、平成25年にできた法律です。
内閣府のホームページから、まずはその目的について見てみましょう。

 

 

障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(平成25年に成立)

 

(目的)
第一条
この法律は、障害者基本法(昭和四十五年法律第八十四号)の基本的な理念にのっとり、全ての障害者が、障害者でない者と等しく、基本的人権を享有する個人としてその尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい生活を保障される権利を有することを踏まえ、障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本的な事項、行政機関等及び事業者における障害を理由とする差別を解消するための措置等を定めることにより、障害を理由とする差別の解消を推進し、もって全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に資することを目的とする。

 

これが2024年4月1日から改正され、施行されています。
そして、それが管理組合にも適用されるようになった、ということです。

 

さて、この改正で何が変わったのでしょうか?下の表をご覧ください。

 

 障害者差別解消法1_1

 

これまでのように障害者への「合理的配慮の提供」が努力義務ではなく、義務化されます。
この義務化に行政上の罰則はありませんが、民事上の損害賠償責任の加重の余地はあります。

 

 

では管理組合とこの法律には、どんな関係があるのでしょうか?

 

総会の会場手配、総会運営の際の配慮
理事会の出席、意思表示等の際の配慮
駐車場、駐輪場の契約等のサービスを享受する際
その他管理組合運営に関するすべての行為・意思表示

 

などの、組合員が行使するべき権利・権限が対象となり、これらすべてに「合理的配慮の提供」をしなければならなくなります。

 

このように最大のポイントは、国や自治体などだけではなく、民間の事業者に対しても、障害のある人への「合理的配慮の提供」が義務づけられる点ですが、そもそも、管理組合は事業者なのでしょうか?

 

→「事業者に当たる」(内閣府・国土交通省 ヒアリング確認)

 

事業者の定義

同種の行為を反復継続している個人、団体をいう。
営利性は問わず、ボランティア、ユーチューバー、町会、自治会、趣味の会、サークルでさえも含まれる。

 

同じく「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」にも事業者の定義が、下記のように表記されています。

 

第2条第1項第七号

事業者 商業その他の事業を行う者(国、独立行政法人等、地方公共団体及び地方独立行政法人を除く。)をいう。

 

では、事業者であるマンション管理組合はどんな人を「障害者」とし、配慮をしなければならないのでしょうか?

 

第2条第1項第一号

障害者 身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)その他の心身の機能の障害(以下「障害」と総称する。)がある者であって、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものをいう。

 

[例]

障害者手帳を持っている方。
日常生活、社会生活に制限のある高齢者も含まれる。
(例:耳が遠い、老眼で文字が見にくい、足腰が痛く歩きづらい 等)
足を骨折し、一定期間歩行困難となっているような方も含まれる。
障害や社会の中にあるバリアによって、日常生活や社会生活に相当な制限を受けている人全てが対象。

 

[該当しない例]

コロナやインフルエンザにり患している人は対象になりません。

 

 

上記に該当する方へ、管理組合ではどんな対応をする必要があるでしょうか。

 

1. 組合員・居住者から申し出があった場合に「合理的配慮の提供」をしなければならな い。
2. 申し出がなかったとしても、当該障害者が社会的障壁の除去を必要としていることが明白である場合には、法の趣旨を踏まえ、当該障害者に対して適切と思われる配慮を提案するために建設的対話を働きかけるなど、自主的な取組に努めることが望ましい。
3. 正当な理由なく、障害を理由としてサービスの提供を拒否・制限をすること、または条件を付けることを禁止。

 

では「合理的配慮の提供」について、下記の資料で確認していきましょう。

 

 障害者差別解消法1_2

 

 

 障害者差別解消法1_3

 

この資料のような合理的配慮について、管理組合ではどんな場面が想定されるでしょうか。
次回は具体的例を交えてご紹介します。

 

今回は以上です。

 

 

(松山マンション管理士)

 

資料の出典 内閣府PDF「障害者差別解消法が変わります!令和6年4月1日から合理的配慮の提供が義務化されます!」

 

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いかがでしたでしょうか。

 

次回の「管理組合が心得るべき障害者差別解消法改正への対応(2/3回目)」もお楽しみに。