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悪徳設計コンサルタントの談合の手口とは(2/3回目)

2024年5月10日 カテゴリ: 業界情報

マンションの大規模修繕工事における悪徳設計コンサルタントについては、国交省からも注意喚起がなされています。
悪徳設計コンサルタントは、どのように見分けられるのでしょうか。
前回に引き続き、当サイト会員の松山マンション管理士よりご紹介いただきます。

 

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マンション管理士職人の松山です。
さて、悪徳設計コンサルタントの談合の手口の2回目です。

 

今回も有料級のその手口の一つをご紹介します。

 

「施工業者はどこでも大丈夫です!」という設計コンサルタントがいるとします。
しかし、設計の特記仕様書に
「塗装の材料は、○○社の○○という製品を使用すること」
「足場材料は、○○社の○○を使用すること」
「防水材料は、○○商社の○○を通すこと」
「耐震改修には、○○社の特許工法を採用すること」
という記載がある場合があります。

 

これの意味するところは、工事会社の誘導です。
談合しているチャンピオンとしたい会社が1社あるとすれば、そこに高い金額で入札されなければ、設計コンサルタントにはバックマージンが入りません。
このように材料を指定し、あるいは入荷する商社まで指定することで、チャンピオン会社には1㎡100円で見積りを出すところ、他社には1㎡200円とか高い金額で見積りを出させ、必然的に他社が高くなるという構図を作るのです。

 

この手法では、設計コンサルタントの作成した特記仕様書は、通常管理組合さんは読みませんし、あるメーカーのある商品を指定したからと言って、表面上それが悪いことだとも思われないという点が巧妙です。
あなたのマンションには「この材料が最適だと思うからです。」という言い訳もできるというリカバリーも効きます。

 

設計後、施工時の監理についても、設計と同じ会社が請け負うわけですから、その材料の良し悪しについてセカンドオピニオン的に判断・再確認する者はいないため、分からないままに搾取されているということになります。

 

これを防ぐために、材料の指定がなされている場合には、管理組合の皆様も設計の特記仕様書を確認し「○○社の○○という製品と同等品」と書くべきではないですか?という投げかけをすることが大切です。 また、塗装材料等の建材には、特化則と言って「特定化学物質障害予防規則※」という労働安全衛生法の特別規則があります。
これに対応した塗料、例えばエチルベンゼンという発がん性物質を含まない溶剤系塗料を使用することとか、環境負荷低減型塗料を使用すること等の記載方法がありますが、これについては設計者の配慮として、使用指定によっては当然価格が高くなるケースがあります。
しかしこういった環境配慮については、管理組合と設計者が対話をもって、価格優先なのか、環境配慮・作業員の安全・安心も考慮した方がいいのか、選択することが望ましいと思っています。

 

さらに、設計コンサルタントが塗料メーカーや塗装材料を指定する場合、大手の塗料メーカー(大日本塗料、日本ペイント、関西ペイント、シーカジャパン(旧ダイフレックス)、エスケー化研、トウペ、ロックペイント等)ではなく、聞いたこともないような中小企業の塗料を指定するケースもあります。 中小企業だから悪い塗料だと言っているわけではありませんが、塗料については半製品であり、塗られて初めて製品として性能が発揮され引き渡されることとなりますので、その製造過程でムラがあってはならないわけです。
そのため、大手メーカーでは工場で製造される塗料についてJIS※で認証されていますが、そのようなJIS規格に即していないような塗料メーカーの場合には注意をするべきでしょう。
(その材料を使うこと、中小企業の塗料が悪いと言っているわけではありません、理由があれば使用した方がいいと思います。選考過程に疑義が生じてはならない、ということを伝えたいのです。)

 

大規模修繕工事で皆様のお金を狙っている悪徳設計コンサルタントは、理由のない「何か」を仕組んでくることがあります。
隅々まで読み、「なぜ?」「これは何?」という疑問を持ち、専門的だからと知らないふりをしないことが大切です。

 

 

(松山マンション管理士)

 

※特定化学物質障害予防規則 ・・・ 労働安全衛生法の特別規則の1つであり、正しく取り扱わないと健康障害を引き起こす可能性のある「特定化学物質」を使う作業者の健康と安全を守るための規則。
※JIS ・・・ 日本産業規格(JIS=Japanese Industrial Standardsの略)。日本の産業製品に関する規格や測定法などが定められた国家規格のこと。

 

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いかがでしたでしょうか。
今回はより具体的な悪徳コンサルタントの手法についてご紹介しました。
無駄な費用をかけない・質の高い工事を行うために、主体性をもって取り組むことが大切ではないでしょうか。

 

次回のコラム「悪徳設計コンサルタントの談合の手口とは(2/3回目)」もどうぞお楽しみに。