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管理規約にこれ入れとこう-5 (専有部分リフォーム時の健康被害防止のために)

2024年3月8日 カテゴリ: 管理組合

専有部分のリフォームを行う際、どんなことに気を付けなければならないでしょうか。
今回は見落としがちな専有部分に関する管理規約を、当サイト会員の松山マンション管理士よりご紹介いただきます。

 

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標準管理規約※が国交省から出されていますが、マンション管理士として様々なマンションの現場に出つつ、管理規約を眺めていると、標準管理規約にこういう条文があれば参考になっていいのにな、という思いや気付きがあります。それらを今後、ひとつひとつご紹介していきます。
今回はその5つ目です。

 

さて、皆さまはアスベストをご存知でしょうか?
うちのマンションは新しい方だからアスベストなんか使っていないよ、と思っていらっしゃる方は多いと思います。
そもそもアスベストって何?と聞いたことがない人もいれば、ご存知の方は昔の建築物の耐火被覆材をイメージされる方もいらっしゃると思います。
このアスベスト=石綿ですが、壊す等して飛散すると細かくなって空気中に舞い上がった結果肺に入り、それが時間をかけて大病の原因になると断定されていることから、建設業界全体として作業員の健康を守るため、法律で規制されています。
もちろん、作業員だけではなく近隣にお住まいの方のためにも、飛散防止することが必要です。
最も注意しなければならないのは暴露している耐火被覆材のアスベストですが、耐火被覆材のみならず、私たちが居住する専有部分内の身近な建築材料の中にも、実は微量に含まれていたことが分かっており、法律もそれに合わせて強化されています。

 

その法律というのが大気汚染防止法、石綿障害予防規則です。
特にマンションにおいては、80㎡の床面積を超える専有部分での解体を伴う工事、もしくは100万円以上の解体を伴う工事を行う場合には、必ずアスベストに関する調査を行い、その調査結果を行政に届け出なければならなくなりました。

 

専有部分内には、フレキシブルボード、岩綿吸音板、石膏ボード、ケイカル板、ビニル床タイル(Pタイル)、フロアシート(長尺塩ビシート)、押出成形品、配管(耐火二層管)、保温材・防音材、ガスケット※・パッキン 等の部材が使用されていますが、その中にごく微量のアスベストが含まれている可能性があります。
これらの部材を解体するときにアスベストが飛散し、作業員のみならず近隣の住民にも健康被害をもたらすおそれもあって、ルール化されることとなりました。
その流れとしては以下のとおりです。

 

①室内にある建築部材を確認(業者にて)。

②業者より、建築部材にアスベストが含まれているかを、分析調査を実施。
 (分析調査をしないで、含有したものとみなして工事をすることができる。)

③その結果を行政に届け出。

④工事実施時にドア等に標識(調査結果等)を外部向けに表示する。

⑤工事時には飛散防止措置を執る。

 

マンションの管理規約には、専有部分の修繕工事に関するルールが定められていると思われますので、この法令で定められたルールを守らないリフォーム業者は結構多くあります。
そのような業者にリフォームを任せて、住民の健康被害が発生しないよう、管理規約の改定を検討しておきましょう。

 

また、さらに管理組合としては、マンションは新築時に同じような建材が使われていることが多いため、このアスベストの分析結果を提出してもらうことも、のちのちの管理組合運営上、役立つことでしょう。

 

詳しくは、環境省のホームぺージをご覧ください。

https://www.env.go.jp/press/110648.html

 

 

今回は以上です。

 

 

(松山マンション管理士)

 

※標準管理規約 ・・・ 国土交通省が公表しているマンションの管理規約のひな形であり、モデルパターン。
※ガスケット ・・・ 金属同士をボルトで繋ぐ時、中を流れる液体や気体を防ぐシール材。役割としてはパッキンと同じ。

 

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いかがでしたでしょうか。
アスベストは昔の事、プロである業者に任せておけば安心だと思っている区分所有者さんは多いのではないでしょうか。
健康被害から身を守るために、またマンションの資産価値を守るためにも、あらかじめ管理規約に一文入れておくことが大切です。

 

次回の「管理規約にこれ入れとこう」もどうぞお楽しみに。