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管理規約にこれ入れとこう-2 (外国人ほか多様性対応 その2)
2023年12月22日 カテゴリ: 管理組合
皆さん、普段の支払方法は現金ですか?カードですか?電子決済ですか?
今回は理事会運営における「支払方法」について、当サイト会員の松山マンション管理士よりご紹介いただきます。
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標準管理規約※が国交省から出されていますが、マンション管理士として様々なマンションの現場に出つつ、管理規約を眺めていると、標準管理規約にこういう条文があれば参考になっていいのにな、という思いや気付きがあります。それらを今後、ひとつひとつご紹介していきます。
今回はその2つ目です。
外国籍の区分所有者が最近増加しています。
マンションにはそれなりのルールが必要ですが、日本にある不動産であることから、標準管理規約では日本人しか所有しないことを暗黙の了解としています。
そのため、外国籍の方への配慮や対応が記載されていない、ということになります。
上記のような状況で、前回は「言語」について紹介しました。
今回は、管理組合内で使用する「通貨」の設定です。
「管理組合内で使用する通貨は、日本円とする」というような設定を、条文として作っておくとよいでしょう。
管理組合運営においては、通貨や支払い方法は特に指定されておらず、標準管理規約においては、口座振替の方法によって支払う、とされているに過ぎません。
また、そのほか、「管理組合が指定した方法」としているマンションもあり、しっかりとその方法を定めていない場合もあります。
そのような場合には、有価証券等による代物弁済※での支払いも可能となってしまうため、マンションの秩序の維持が困難になると予想されます。
他方、企業でも現在は給与を電子マネーで支払ってもよい、と認められている状況にあり、区分所有者がそのような電子マネーで支払いたいという場合もあるでしょう。
しかし、管理組合においてはそのほぼすべてが現金取引であり、電子マネーでの資産が積みあがったところで区分所有者の利益にならないと考えられますので、指定する意味はあるでしょう。
今回は以上です。
(松山マンション管理士)
※標準管理規約 | ・・・ | 国土交通省が公表しているマンションの管理規約のひな形であり、モデルパターン。 |
※代物弁済 | ・・・ | 本来の債務の代わりに、他の物品などによって債務を消滅させること。 |
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いかがでしたでしょうか。
現在の管理規約にひと言、一文入れるだけで、不測の事態に備えることが出来ます。
外国籍の区分所有者が増加する今、多様性対応の準備が必要だと思われます。
次回の「管理規約にこれ入れとこう」もどうぞお楽しみに。