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高くてもあきらめない! やりくり上手な耐震化計画(後編)
2023年12月1日 カテゴリ: マンション管理情報
前回はマンションの耐震化に莫大な費用がかかること、それがネックとなり耐震化をあきらめる管理組合様が多いことをご紹介しました。
今回はそのような状況でも実現可能な耐震化について、当サイト会員の松山マンション管理士よりご紹介いただきます。
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「高くてもあきらめない! やりくり上手な耐震化方法」を実現するために、前回、「耐震スリットの新設、壁の増し打ち、外部外枠材の取り付け等」という手法を挙げましたが、「耐震スリットの新設」については、1か所20万円程度で実施することが可能です。
100戸の大きなマンションでも、1,500万円程度で実施することができた例もあります。
このような、完全にIs値0.6化を目指すのではなく、少しでも耐震補強をしていこう、という方法を「段階補強」と言っています。
具体的には、その途中のIs値0.45化を目指すということで、一定の効果が得られるといわれています。
耐震診断Is値が0.3未満の場合、「地震に対して倒壊または崩壊する危険性が高い」という状況であるため、これを少しでも上げることで、安心感が醸成されます。
ただし、この場合は行政の補助金は出ませんので、その点がネックとなります。
Is<0.3 |
地震に対して倒壊または崩壊する危険性が高い |
0.3≦Is<0.6 |
地震に対して倒壊または崩壊する危険性がある |
0.6≦Is |
地震に対して倒壊または崩壊する危険性が低い |
そして、耐震スリットだけの効果について、以下のような実例があります。
あるマンションの耐震スリットを施工した場合の例(約2000万円程度をかけた場合)
この建物の特徴は、6階から上で、鉄骨鉄筋コンクリートから、鉄筋コンクリートに構造が変わる点であり、その境目から耐震性が劣ってしまっています。
A棟・B棟とありますが、エキスパンションジョイント※でつながってはいるものの、この2棟は建物としては独立した建物となっており、各棟で耐震計算されています。
耐震スリットを設けるだけで、図のような効果が得られる事例もあって、完全にIs値0.6化を目指すことも大切ですが、耐震スリットの新設だけでもこのような大きな効果があることをぜひ知ってもらいたいと思っています。
耐震スリットとは?
建物を支えている柱がありますが、柱は壁とくっついているため、壁が逆に柱を傷つけてしまって耐震性が劣ってしまうという結果になってしまうことがあります。
柱と壁との縁を切って、壁で柱を傷つけないようにする、というのが耐震スリットの効果です。
新築マンションには、垂直スリット、水平スリットと上部以外にスリットが当初から設けられているのがほとんどです。
これを工事するだけでも一定の効果が得られるので、ぜひ大規模修繕工事と同時施工、を目指して検討していってください。
(松山マンション管理士)
※エキスパンションジョイント | ・・・ | 免震構造などに用いられる方法。構造物相互を緊結せずに接続し、熱膨張や収縮・地震などによる振動に対して,構造物に応力が生じないようにするために用いる。 |
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いかがでしたでしょうか。
大規模修繕工事と併用して耐震工事を行うことで、安全の確保とマンションの資産価値を高めることが可能です。
「あの時、対策しておけば良かった!」とならないために、耐震化を一度は諦めた管理組合様も上記の方法で取り組めることがあります。
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