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マンション管理組合と地震保険 ~入るべきか、見送るべきか~(3/3回目)

2023年11月17日 カテゴリ: マンション管理情報

最終回の今回は、前回に引き続き当サイト会員の松山マンション管理士監修のもと、マンション地震保険の「新耐震基準と、加入時におさえておきたいポイント」についてご紹介します。

メリットはもちろん、デメリット(注意点)も考慮して、加入を検討されることをお勧めします。

地震保険への加入、非加入を検討中の管理組合様へ、少しでもお役に立てたら幸いです。

 

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6 新耐震基準について

1981年の建築基準法改正により、建築物の耐震基準は変わっています。

 

 

旧耐震基準
(1950年 建築基準法制定)

新耐震基準
(1980年 建築基準法改正)

中 地 震
(3.11における関東地方周辺での揺れ程度)

倒壊しない

軽微なひび割れにとどめる

大 地 震
(3.11における宮城県太平洋側周辺での揺れ程度)

特に規定なし

倒壊しない

 

上記のような法改正後、建築物の耐用年数以内に大地震(関東大震災級)があって、建物に部分的な損傷が生じても、最終的に崩壊から人命を守るとしています。
ただし、大地震後に発生した「大地震に準じた余震」が発生したとすると、直さない限り、この基準通りではなくなります。

 

7 3つの後学

①専有部分の評価方法は約款に書いてありません。
マンションの地震保険の約款には、共用部分の被害程度についての記載はありますが、専有部分に関する被害程度の基準が記載されていません。
専有部分は、一般的なマンションの場合、「上塗り基準」が採用されていますが、その場合の「建物」については、内装クロスや間仕切り・キッチン・給排水管・電気設備等があるにも関わらず、それがどんな被害にあったら保険の対象となるのかが不明確になっています。
特に専有部分には、柱も梁もなく、構造耐力上主要な部分が存在しません。4項で明記した「損害程度に関する基準」の内容に当てはまらないのです。
したがって、被害の程度に関しては、保険会社と交渉の余地がある、と言い換えることができます。

 

「上塗基準」と「壁芯基準」

 

「上塗基準」と「壁芯基準」

 

その他、地震保険は家財を対象とすることもできます。
その場合、地震の被害状況を申請するために、壊れた家財の写真を撮り、ごみはなるべく捨てずにとっておくことも大切です。

 

②地震保険に入る場合、理事長交代の都度、変更手続きをしておくこと。
地震はいつくるかわかりません。
いざ地震が来たときに、地震保険を使おうとしたとき、証券に記載された理事長名と、保険金申請したときの名前が違うと、その分保険金の支払いが遅くなる可能性があります。
したがって、地震保険に5年間等で加入している場合には、契約者名を理事長が変わるたびに変更手続きすることをお勧めします。

 

③今後、住めようが住めまいが、評価方法は変わりません。
地震保険は、その後の生活継続のための足しにする、というのが地震保険法に記載されています。
建物を直すお金ではなく、当面の生活費のための資金にする、という目的です。
したがって、地震で建物が住める・住めないにかかわらず、保険での被害評価は変わることはありません。
あくまで被害評価は4項で紹介した「損害程度に関する基準」で決定されます。

 

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いかがでしたでしょうか。

全3回にわたり、マンション全体の地震保険についてご紹介しました。

皆様の大切な資産であるマンションの価値を下げないために、地震保険に入る選択肢・入らない選択

肢があると思います。

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