マンション管理士のコレ聞いて!!
大規模修繕を控える理事会の皆様へ(3/3回目)
2023年10月27日 カテゴリ: 管理組合
総会開催時の出席票・委任状・議決権行使書の取り扱いについて、最終回は前回に続き当サイト会員のマンション管理士が、実際に現場で悩んだ様々なケースについて、ご紹介させていただきます。
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その11
委任状に記載された部屋番号と受任者の名前が一致しないケース
部屋番号と受任者が一致せず、特定できないケースです。
部屋番号も存在し、違う部屋番号に一致した名前もあるケースです。部屋番号を信じるべきか、名前を信じるべきか・・・
厳密に言えば無効となる余地がありますが、名前の方を重視するべきと考えたいところです。
その12
総会の審議中に、委任状を提出してきたケース
議事を審議している最中に委任状を提出してきた場合です。
区分所有法第39条に「集会の議事は、この法律又は規約に別段の定めがない限り、区分所有者及び議決権の各過半数で決する」との規定がありますので、(総会成立が有効であれば)議事ごとに判断することとなります。
厳密には、各議案プロセスは
①各議案の説明前に出席者数を再確認し、
②議事を行う(説明から、質疑応答、議決権を行使する(採決)ところまでを一貫して議事という)
という流れになります。
つまり、議決権行使時(=挙手するタイミング)の直前で委任状が提出されていれば、有効に取り扱ってよいと思われます。
その13
委任状や議決権行使書を提出したあと、総会開催日前に死亡又は引越しをしてしまったケース
これまた、あり得ないと思いがちですが、実際に数件ありました。
委任者の死亡の場合には、民法でも書いてある通り、委任の契約は無効となりますので、悩む余地はありません。しかし、引っ越しの場合には、どうすればよいでしょう。
総会の招集通知は、旧区分所有者に出し、回答も旧区分所有者から。しかし、総会開催日における、議決権の行使者としては新区分所有者であるという、非常に悩むケースです。
区分所有法では、第61条第7項に建替えに関する事項がありますが、その中に「決議に賛成した区分所有者(その承継人を含む。以下この条において「決議賛成者」という。)」とあることから、建替えは、区分所有者が変わった後でも拘束するぞ、という強い意志が働いていますが、通常の総会の場合には、そのような記載がありません。
委任者が交代すれば、当然に無効となり、もう一度出席票や委任状、議決権行使書を貰う必要があるのではないかと思われます。
逆に、区分所有者は、前区分所有者の特定承継人ですからその権利義務は引き継いでいるはずだ、というご意見もあるでしょう。とはいえ、駐輪場の使用契約等、属人的な権利義務は引き継がないとも言われていることから、委任者もまた変更となれば、無効となるのではないかと思われます。
その14
議案書に委任状だけで、議決権行使書がそもそも添付されていないケース
議決権行使書が添付されていない場合でも、管理規約に「書面で議決権を行使することができる」と書いてあれば、自分で作成して提出することができます。メモ書きでも、きちんと浄書しても、形式はどうあれ自由に作成して提出することができます。
以上のように、委任状一つとっても、取り扱いには多くの知識が必要です。
現場で悩まないように、すっきりした出席票・委任状・議決権行使書を作成しておきたいものですね。
(松山マンション管理士)
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いかがでしたでしょうか。
総会は多くの区分所有者が集まり、どんなに入念な準備をして臨んでも時に想定外の事が起こり得ます。
滞りなく総会を運営するために、少なからず専門的な知識は必要です。
総会だけでなく理事会の運営に悩まれた際、こんな時はどうしたらよいのか?などと迷われた際は、どうぞお気軽にご連絡ください。
当サイト会員のマンション管理士、専門スタッフが管理組合様のお困りごとに寄り添って最後まで伴走いたします。