マンション管理士のコレ聞いて!!

大規模修繕を控える理事会の皆様へ(2/3回目)

2023年10月20日 カテゴリ: 管理組合

総会開催時の出席票・委任状・議決権行使書の取り扱いについて、前回に続き当サイト会員のマンション管理士より、現場で悩んだ様々なケースについて、ご紹介させていただきます。

 

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その6
委任された人が欠席し、議決権行使書を提出しているケース

 

委任された人が欠席してしまった場合は、委任状の委任項目に記載されている内容に基づいて取り扱います。

 

「受任者が総会に出席し、議決権を行使すること」とされている場合。

「出席し」となっているので、委任の本旨に従っていないので、その委任状は無効となります。

 

「受任者が議決権を行使すること」とされている場合。

出席要件がないので、その委任状は有効としてもよいと考えます。

 

 

その7
委任された人が欠席し、委任状を提出しているケース

 

これもよくあることです。委任された人は、委任されたことを認識していないことが多く、欠席したうえ議決権行使書ではなく委任状を提出してしまったケースです。
この場合には、民法上の復代理となり、本人の許可が必要になります。
「あなたに任せたい」という意思が、そのまま「あなた」が任せた誰かにさらに「任せる」ことにはならず、基本的には無効となります。
したがって、委任状の注記に「代理人が欠席した場合には、この委任状は無効となり、議長委任とさせていただきますので、代理人が出席することを確認してからご記入ください」と記載するようにしましょう。

 

 

その8
受任者の名前が読めない、受任者が存在しないケース

 

一番困るケースです。この場合には、書いた方に問い合わせるしかありません。
「何と書かれたのか?」「書かれた方は存在しないのですが」と質問し書き直させることが望ましいでしょう。
「判読不可、存在しない場合には議長委任とする」と書いておくのも一案です。

 

 

その9
受任者が(管理規約上、総会に代理人として出席できない)無権利者であるケース

 

例えば管理規約では「総会の議決権行使は、組合員と同居の配偶者」とされているのに、お子さんを代理人として指定したようなケースです。
管理規約に従えば、代理人として取り扱えない人が出席している以上、さすがに認めるわけにはいきませんから、これは無効として取り扱わざるを得ません。
したがって、委任状の注記には「適法な代理人を選任ください」と記載し、その属性を明確にさせるべきでしょう。

 

 

その10
委任状と議決権行使書を提出していて、議決権行使書の全部またはいくつかに空欄があるケース

 

議決権行使書を優先して取り扱いますが、議決権行使がされていない議案について、委任状の適用をするかどうかが問題となります。
通常、総会の開催後すぐに総会の成立要件を確認しますが、本来は、議案ごとに総会の成立要件を確認して、出席者と議決権を数えるのが正式なパターンです。そう考えれば、議案ごとに「書面で議決権を行使する」か、議決権行使書に記載のない部分を補完する役割として「委任状が有効」と解釈してもよいと考えます。
しかし、委任状よりも議決権行使書が優先されるのではないか?(上書き理論)ならば、空欄の場合には、意思が決定できないとして「棄権票」(反対票)に投じるという考え方もあるでしょうが、書き忘れという余地もあり、意思が不明確であることが問題です。
注記として、「全部が記入されていない場合には、書き忘れとして、委任状に記載がある場合は委任状を優先し、委任状に記載がない場合には全議案反対として取り扱います。一部のみ記入されていない場合には、棄権とみなし、反対票として取り扱います。」等の記載が必要であると考えます。
よく「賛成票としてはいけないのか」という質問もありますが、賛成とは積極的な意思表示ですので、「記載がない」「よくわからない」=「賛成ではない」のです。ですから、賛成以外の票(=反対票)として取り扱うべきと考えます。

 

 

出席票 兼 委任状 兼 議決権行使書のサンプル画像

 委任・議決権行使について2_出席票・委任状・議決権行使書の一例

 

 

(松山マンション管理士)

 

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上記のように委任状一つとっても様々なケースがありますが、なんとなくの判断は後に思ってもみないトラブルにつながります。
ご紹介したケースから正しい運用を知ることで、理事会の皆様のお力になれば幸いです。
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