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大規模修繕を控える理事会の皆様へ(1/3回目)

2023年10月13日 カテゴリ: 管理組合

マンションの大規模修繕は、管理組合員(住民)の皆さんが長年にわたって積立てた多額の修繕積立金を使用するため、検討する議題が多く、理事会の決議のみでは進められない場合も多々あるかと思います。このような場合、臨時総会を開き管理組合員の意見聴取を行うのが一般的です。
その際に、出席票・委任状・議決権行使書等の取り扱いに悩まれる理事会様へ向けて、当サイト会員であるマンション管理士の松山先生に、現場で悩んだ様々なケースについて、全3回に分けてご紹介していただきます。

 

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総会において、多くの管理組合では、「出席票」「委任状」「議決権行使書」の三つあるいは「出席票」「委任状」の二つを活用されているかと思います。ここでは、現場で委任状等の取り扱いについて悩むさまざまなケースをご紹介します。

 

その1
管理規約で「理事長が議長になる」と記載されていて、委任状の受任者欄が空欄の場合には「議長に一任する」としているケース

 

特に悩む必要はなさそうですが、理事長が欠席した場合の委任状の取り扱いには悩みが出そうです。
理事長が病欠等で欠席した場合でも、「議長に一任」とされているので、委任状の記載や効力に問題はないと思われます。
また、管理規約でも「理事長に事故がある場合には、副理事長がその職務を代行する」とあるので、委任状を提出する組合員も、「理事長→副理事長」まで議長の就任機会がありそうだ、と理解して委任したものと解していいと思われます。

 

 

その2
管理規約で「理事長が議長になる」と記載されていて、委任状の受任者欄が空欄の場合には「理事長に一任する」としているケース

 

これは、「理事長に一任」しているため、理事長が欠席した場合には、副理事長がその委任状による議決権を行使するわけにはいかないでしょうから、理事長あての委任状は無効になるものと解釈して良いでしょう。
このような書面を作成している場合には、理事長の欠席(特に体調管理)には十分に気を付けましょう。

 

 

その3
そもそも委任状の受任者欄が空欄の場合には、無効になるのではないかと主張するケース

 

白紙委任状は、その学説・判例からも有効(厳密には、その委任状を受け取った者が、代理人の選任権を含めて委任されたという解釈)とされていますので、無効という主張は誤りと考えられます。
べき論で言えば、やはり白紙よりは記入してあったほうがより良いですが。

 

 

その4
管理規約で「議長は、総会で選任する」と記載されていて、委任状の受任者欄が空欄の場合には「議長に一任する」としているケース

 

悩むポイントは、議長が誰かが事前に決まっていない、という点です。
白紙委任状が有効である、つまり、委任した時点で受任者が決まっていない場合(≒議長)であっても有効であるのなら、総会に出席した者の中から選任されるという、特定多数から議長が選任されるという、内輪の世界において言えば、一般的な白紙委任状よりも狭まることから、有効とみてよいと思われます。

 

 

その5
出席票、委任状、議決権行使書のすべてに記載されているケース

 

よくあるケースで、「いずれか記入してください」と書いてあってもよく読まず、全部に記載してしまう方がいます。この場合には、本人の意思が色濃く出る、
①出席したら出席票
②欠席したら議決権行使書
③委任状
の順で取り扱うのが望ましいでしょう。

 

 

(松山マンション管理士)

 

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上記のように出席票や委任状、議決権行使書には様々なケースがあり、その都度対応する必要があります。
当サイトでは管理組合様のお困りごとに寄り添って、最後まで伴走するアドバイザリーを目指しております。
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